私と後藤真希

後藤真希という存在は、私のヲタ人生の中でも欠くべからざる人物である。
特に推してたというわけではないが、一目置く存在であったことは事実だ。
というのも、彼女なしでは『LOVEマシーン』は生まれなかったし、今日の娘。およびハロプロの隆盛もなかった。
ということで後藤真希ハロプロ有史の中でも突出した傑物なのである。


初めて後藤真希を見たのはASAYANの3期オーディションだった。
3期オーデの最終候補者には、ちびっ子、アニメ声、色んなキャラがいたが、
ひときわ異彩を放っていたのが、金髪の13歳の後藤真希だった。
当時、ASAYANを見てはヲタ卒した好敵手S君と「後藤だけはやめて欲しいよな」とか
「娘。のイメージが崩れるぜ」とか言ってお互いが後藤に対して非難を浴びせていたものだ。
だがしかし、お互いが「この中では後藤真希しかない」「後藤真希と誰だ、ちびっ子か?」などと、
その実力を認めてはいた。ただ、どこか変革を受け入れられない保守的な一面があったため、
それが無理やりな非難というかたちで現れたのだと思う。
それだけ後藤真希とはインパクトが強かったのである。
(回想)
今にして思えば、3期オーディションは、4期の素地が出来ていたと思う。
3期オーデで残った子たちは、キャラが後の4期とかぶっているところがあった。
つまり、後藤真希がいなければ、3期メンとして入隊していたかもしれない。
同世代に後藤真希がいたことを悔やむしかないだろう。
一方で4期メンは後藤真希がいなければ入隊できなかったかもしれない。
後藤真希がいたことに感謝すべきだ。


後藤真希のおかげでモーニング娘。は飛躍を遂げた。
ジェットエンジンに火がついたかのごとく、CDは飛ぶように売れ、
テレビのレギュラーは数え切れないほど。
歌番組には引っ張りだこで録画が追いつかないほどだった。
いわゆる黄金時代。
藤原道長の歌にあるような
「この世をば我が世とぞ思ふ望月のかけたる事も無しと思へば」
おそらくUFAの幹部連中はそう思っていただろうね。


そんな中、事態は風雲急を告げる。
忘れることのできない2002年7月31日。
ヲタの間ではハロマゲドンなんて呼ばれているが、後藤真希の娘。卒業が発表された。
9月23日、17歳の誕生日をもってモーニング娘。を卒業し、ソロ活動に入る。
その一報を知ったとき(確か某巨大掲示板群で知ったと記憶しているが)
椅子から転げ落ちんばかりの衝撃を受けたことを覚えている。
保田の卒業も同時発表だったが、
そんなの関係ねぇ!
タンポポに紺野が入りますが、
そんなの関係ねぇ!
プッチモニに小川が入りますが、
そんなの関係ねぇ!
ミニモニ。に高橋が入りますが、
あ、ちょっと興味あるかな

それはさておき、まさに晴天の霹靂であり、突然の別れの切り出しに動揺を隠せなかった。
当時会社の人からは「ゴマキ辞めちゃうね〜」と言われては、
「まぁ、娘。の枠に留めておくのは彼女にとってよろしくないですからw」
なんて大人の対応をしていたつもりだったが、内心「これで娘。も終わっちゃうんじゃないか」
という不安を抱えていたことも事実だ。


こうなるといてもたってもいられなくなり、それまで関東遠征することはなかった私が、
初めて大人の方法を使ってチケを落とした。
立ち見Fブロックで3マソ。
当時のじぶんにとっては痛い出費だったが、ごっちんの卒業をこの目で見届けたいと思う一心で遠征を決めた。
加入当初はオリメンかわいさに「アイツには娘。魂がない」
「ソロ志向が強いやつには辞めてもらって結構」などと、さんざんこきおろしたものであるが、
いつの間にか、
いや、おそらく最初から、
後藤真希の実力を認めざるを得なくなっており、
後藤真希の魅力にずっぽりはまっていたのである。
ザ・クイーン・オブ・ホットパンツ
それが私の中の後藤真希
いやいや、そんなもんじゃないw
アイドルというよりもカリスマだった。後藤真希は。


そして当日がやってくる。
今までコンサートで泣いたことなんかなかった。
かつては明日香の『Never Forget』を聞いて隣で泣いてるS君を見て、
「バカかお前、晴れの門出を笑顔で送らんでどうするとや」
なんて、小ばかにしてたものだったが、

9月23日の横アリでは、泣いてしまった。
号泣だった。
後藤真希がいたモーニング娘。と同時期を過ごすことができたことに対する感謝と、
これでいなくなってしまうのだという無念。
それらが混ざり合って、涙という形で吹き出てしまったのだろう。
笑いながら泣いていたり、しかめっ面で泣いていたりしていた。
感情が揺さぶられっぱなしだった。

あれから卒コンには何度か足を運んだけれども、これを超える感動に出会ったことはない。


千奈美に、このときのライブDVDは見ていない。
遠くからだったが、あの角度から見た後藤真希の姿を忘れたくないからだ。
そして、DVDで見てしまうと、娘。の後藤真希のピリオドを受け入れてしまうようで嫌なのだ。
それほど、後藤真希のいた娘。を忘れることはできないのである。


時は流れて、娘。の卒業から5年も経った。
娘。時代よりもソロ時代のほうがうんと長くなった。
方向性が明確でなく迷走していた感があったが、今回のコンサートはなかなか評判がよさそうである。
22歳の後藤真希
またひとつ大人になった後藤真希を、この目で見てみたいような気がしてきた。
(遠征はできないけどw)